第50章

すぐに、平原綾香のスマホが上村からの着信で震えた。

「綾香、投資側に何か言ったのか?」

綾香は眉をひそめる。

「え……どうしたの?」

「急に現場の締め付けが緩くなったんだよ」上村圭はどこか肩の力が抜けた声で言った。「今朝、監督が撮影プランを変更するって発表してさ。ペースを落とすって」

一拍置いて、上村は軽く笑う。

「やっぱり綾香は強いな。投資家にひとこと言っただけで片がつくなんて」

綾香はスマホを握ったまま、返す言葉を失った。

「……よかった」小さくそう言ってから、付け足す。「ちゃんと撮影して。身体、無理しないでね」

通話を切ると、綾香は椅子の背に身を預け、天井をじっと見上...

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