第55章

「そうだよ! あたし、ここで二年も働いたのに、あの女は『今日でクビ』って平気で言うんです! 情けひとつもない!」

「私たち、みんな寧々さんの人間ですよ? あれじゃ寧々さんの顔に泥を塗ってるのと同じです!」

平原寧々はソファに腰を落としたまま、顔色を最悪にしていた。

「わかった。あんたたちは先に帰って。これは私が処理する」

「でも……」

「処理するって言ったでしょ」

平原寧々が遮ると、声の温度がすっと下がった。

人が全員いなくなった途端、彼女は抱き枕を床へ叩きつける。

平原綾香――!

婚約者も、松村家の女主人の座も奪っておいて、今度は私の手元の事業まで取りに来る気?

ふざけ...

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