第56章

料理人から届いたメッセージに目を通した松村礼嗣は、ふっと口元をゆるめた。

椅子を押し、書斎を出る。

二階の子ども部屋では、三人の子どもがカーペットの上に輪になって座っていた。

開け放した扉を、礼嗣が軽くコンコンと叩く。

三人が同時に顔を上げた。

「お父さん!」

平原雪子がぱっと声を上げ、駆け寄ろうとして――途中でハッと足を止めた。振り返って、平原光をちらり。

光は無表情のまま、人差し指を左右に小さく振って見せる。

雪子は即座に笑顔を引っ込め、きゅっと口を結んで元の場所へ戻った。小さな背筋をしゃんと伸ばし、やけに改まった口調で言う。

「松村さん、何かご用ですか」

「……」

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