第62章

「お父さん、まだ始まったばかりだよ」

平原寧々は得意げにそう言った。

立ち上がって平原明広にお茶を淹れると、そのまま彼の隣に腰を下ろす。声には、少し甘えるような響きが混じっていた。

「お父さん、私、会社の規模を今の倍まで広げたいの」

湯呑みを持つ平原明広の手が、ぴくりと止まる。

「倍に?」

「うん」

平原寧々はうなずいた。

「今は市場の反応もすごくいいし、この勢いを逃す手はないよ。ここで一気に投資を増やして、もっとシェアを取りにいくべきだと思うの」

平原明広はしばらく考え込み、それから小さくうなずいた。

「たしかに、一理あるな。それで、具体的にはどうするつもりなんだ?」

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