第63章

ほどなくして、平原綾香がデザインしたジュエリーも試作品が上がった。彼女は広報用の予算を確保するため、経理部へ向かう。

――だが、経理部に足を踏み入れた瞬間、空気がどこか妙だった。

経理部長は顔を上げ、綾香だとわかると一瞬だけ表情を引きつらせる。

「平原部長、どうされましたか」

平原綾香はそのまま中へ入り、手にしていたファイルを机の上へ置いた。

「ジュエリー新作の発表会に関するプロモーション予算です。先週、申請を出しましたよね。進捗を確認したくて」

経理部長はごほん、と咳払いをする。

「平原部長……その件、少し状況が変わりまして」

「状況が変わった?」

綾香が眉を上げる。

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