第75章

そのとき、マイバッハの後部座席から、小さな女の子がひょこっと顔を出した。

フリルのついた上品なプリンセスドレス。いかにも家で大事に着せてもらったのがわかる。

『日村、どうしたの?』

女の子は向かいの車にいる平原秋友たちを見つけると、ぱっと目を輝かせた。

『あれ? 平原秋友? 平原雪子? ……えっ、あなたたちじゃん!』

日村と呼ばれた中年の男が、きょとんとする。

『お嬢様……ご存じで?』

『もちろん』

女の子はドアを押し開け、ぴょんと地面に降りた。

『同じクラスだもん』

平原秋友がちらりと彼女を見て、松村礼嗣に小声で言う。

「彼女、田原絵美菜だよ」

松村礼嗣は小さく頷い...

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