第77章

田原絵美菜は席に座り直し、さっきまで真っ赤だった頬が、じわじわと元の色に戻っていった。

平原小春の話を聞きながら、頭の中だけが忙しく回転する。

――なるほど。小春がピアノを習うお金は、そうやって捻り出していたんだ。

車の件も、これで説明がつく。やっと「お父さん」を見つけたのなら、子どもに恥をかかせたくなくて、背伸びして一度だけ高級車を借りるくらい、あり得ない話じゃない。

絵を売っていくらになったかも、きっと一般家庭なら「すごい金額」に見えるだけで、実際は大した額じゃないのだろう。

けれど、ピアノの先生はそこまで深読みしなかった。

先生はすっと立ち上がり、平原小春の肩にぽん、と手を...

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