第8章

「……それでいい」

松村礼嗣は小さく鼻を鳴らし、埃をぱんぱんと払ってから、上村へ視線を向けた。

「失礼。あなたは?」

上村が口を開くより早く、平原秋友が一歩前に出て、小鼻をひくつかせる。

「上村圭も知らないの? 今いちばん人気のアクションスター、上村圭だよ! ダサっ!」

「秋友!」平原綾香がきつくたしなめる。

上村圭は穏やかに松村礼嗣を見て、先に手を差し出した。

「平原綾香は僕のマネージャーで、友人です。子どもの言うことですから……松村さん、どうか気にしないでください」

差し出された手を見つめたまま、礼嗣の胸はますます重くなる。それでも礼儀として握り返した。

「今回は助かっ...

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