第81章

一週間後――。

市文化芸術センターの大ホールは、立ち見が出るほどの満員だった。

今日は市内の小中学生ピアノ演奏会。各校が送り出してきたのは、いずれも選抜を勝ち抜いた精鋭ばかりだ。ここに立てる時点で、才能と努力の証明と言っていい。

バックステージの控室では、小さな出場者たちが三々五々に固まり、張りつめた空気の中にも、どこか秩序があった。

田原絵美菜は隅のソファに腰を下ろし、目を閉じて譜面を頭の中でなぞっていた。

その横で田原の父が、声を落として娘に言う。

『緊張するな。いつも通りでいい。父さん、客席で見てるからな』

田原絵美菜は目を開け、こくりと頷いた。

今日の調子は悪くない。...

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