第83章

田原絵美菜は床にしゃがみ込み、顔じゅう涙でぐしゃぐしゃになりながら泣いていた。メイクもすっかり崩れている。

お父さんが、帰ってしまった。

客席から立ち去っていく背中を、絵美菜は見ていた。振り返りもしない。

怒ったんだ。自分の顔に泥を塗ったと思われたんだ。

でも、絵美菜だって必死だった。難しいところは何度も何度も練習した。それでもどうしても指が言うことをきかない。――じゃあ、どうすればよかったの?

考えれば考えるほど悔しくて、情けなくて、絵美菜の泣き声は大きくなっていく。

そのとき、すぐそばで誰かが立ち止まった気配がした。

絵美菜はぱっと顔を上げる。お父さんが戻ってきたのかと思っ...

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