第86章

松村お婆さんの七十の誕生日は、あっという間にやってきた。

屋敷は隅々まで飾り立てられ、めでたい空気が満ちている。正門から本館へ続く赤い絨毯の両脇には、各界の名士たちが贈った豪華なフラワースタンドがずらりと並び、まるで花の回廊だ。

駐車場には高級車がぎっしり。洛市の上流階級の半分が集まったと言っても大げさじゃない。

今日の松村お婆さんは、ひときわ気品があり、顔色も驚くほどいい。

上座に腰を下ろした彼女の周りには、四人の愛らしい子どもたちがちょこんと寄り添っていた。

『おばあちゃん、今日すっごくきれい!』

平原小春が膝にぺたりとくっつき、小さな顔を見上げる。瞳はきらきら。

『うんう...

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