第88章

松村お婆さんの寝室は、屋敷の東棟にあった。

夕暮れが迫り、差し込む西日が部屋いっぱいに広がって、すべてをやわらかな橙色に染め上げている。

松村お婆さんは長椅子にもたれ、手にはまだ「光探し」の絵を握ったまま、じっと見入っていた。

「おばあさま」

松村礼嗣の声に、お婆さんは顔を上げる。

孫の後ろに立つ平原綾香を見つけた途端、皺の刻まれた顔がふわりとほどけた。

「綾香も来たのかい。さあ、こっちへおいで。座りなさい」

綾香は長椅子の端に腰を下ろす。少し迷ってから、意を決したように口を開いた。

「おばあさま。今日の私は、少し無礼かもしれません。でも、どうしてもお聞きしたくて……」

一...

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