第89章

平原綾香は、何気なく口にした問いかけが、松村家に五十年も埋もれていた秘密を掘り起こすことになるなんて、思いもしなかった。

平原綾香はきっぱりと言った。

「この件、私が必ず突き止める」

松村お婆さんが振り返り、彼女を見つめる。眼差しは優しく、それでいてどこか複雑だった。

「綾香。そう言ってくれるだけで十分だよ。でもねぇ……五十年前の話だ。どこをどう調べるんだい?」

「方法はあります」平原綾香は迷いなく返す。「人が生きてきたなら、必ず何かしら痕跡が残るはずです」

松村礼嗣が彼女を一瞥し、ゆっくり口を開いた。

「この件は俺が人を動かす。松村家のことは、俺が片をつける」

平原綾香はほ...

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