第99章

翌朝。松村グループ本社ビル最上階の会議室は、鉛を流し込んだように重かった。

松村礼嗣は再び取締役会を招集していた。侵害訴訟は解決できる、と本人は言っていたが、誰もが胸の奥に不安を抱えたまま。顔色のいい者など一人もいない。

主座に座る松村礼嗣だけが、凪いだ表情を崩さない。

『松村様。本日お集めになったのは、侵害の件に結論が出たということでしょうか』

最初に口を開いた取締役に、松村礼嗣は小さく頷いた。

『結論は出た。控訴はしない。相手の賠償請求を受け入れる』

会議室が、すとんと静まり返った。

互いの顔を見合わせる取締役たち。今の言葉を、聞き間違えたのではないかという目だ。

『松村...

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