第101章

乙村彩羽は田村のあとについて、リビングへ入った。

「田村さん、さっき手を出したのは……私が先です」

彼女はもう一度、認めた。

田村は振り返り、やれやれといった目で彩羽を見る。

「知ってるわよ。あの子たちが何も言ってこないなら、わざわざ揉める必要なんてないでしょう。なんで手を出したの」

乙村彩羽は唇を結び、黙り込んだ。

田村が促す。

「言いなさい。何を言われたの?」

乙村彩羽は首を横に振る。

「小崎のこと?」田村はすぐに察した。

乙村彩羽は眉を寄せ、それが肯定の代わりになった。

田村は彼女の腕を軽く叩く。

「小崎が出ていくとき、あなたのことを少し見てやってほしいって頼ま...

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