第104章

石塚勝矢は平原由美に事前に挨拶を入れておいた。

二人が店に着くと、平原由美はすでにスタッフを連れて入口で待っていた。

「由美さん」

高橋遠矢が恭しく頭を下げ、紹介する。

「こちら、若様のご婚約者の木宮さんです」

その背後で、木宮朱理が行儀よく微笑み、丁寧に会釈した。

平原由美は彼女のことを前から耳にしていたし、平原修司から写真も見せられている。

乙村彩羽という「先」を見てしまったせいだろうか。木宮朱理の顔立ちは整っているはずなのに、どこか物足りなく感じてしまう。

胸の内で小さくため息をつき、笑みを崩さず一歩前へ出た。

「勝矢の婚約者なら、これからは身内みたいなものね。さ、案...

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