第124章

――

「彩羽……本当に、あいつと婚約するのか? たとえ、向こうがおまえを好きじゃなくても」

乙村家の別荘の庭で、本原青矢は複雑な表情のまま、ブランコを揺らしている少女を見つめていた。

乙村彩羽はぱっと花が咲くように笑う。

「今は好きじゃないかもしれない。でも、いつかきっと……私のこと、好きになるよ」

その言葉を聞いた瞬間、本原青矢の顔つきがわずかに変わった。

けれど彩羽は気づかない。ブランコから軽やかに降り、彼の前まで歩み寄る。

「青矢さん、石塚勝矢に対する偏見が強すぎるよ。あなたが思ってるほど悪い人じゃない」

「私がいじめられるのが心配なんでしょ? 大丈夫。あの人はそんなこ...

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