第126章

二人は、とある部屋の前で足を止めた。

陸田清人が顎で示す。

「君の部屋は――」

言い終えるより早く、乙村彩羽は扉を開け、そのまま中へ入ってしまう。

陸田清人が状況を飲み込んだ頃には、もう遅かった。目の前には、ぴたりと閉じたドアだけ。

彼は眉をつり上げ、鼻先を指でなぞる。口元に、意味深な笑みが浮かんだ。

――やっぱり、思った通りだ。

乙村彩羽は、実に面白い。

ゆっくり付き合ってやればいい。

「ゆっくり休め。明日な」

扉の向こうへ言葉を残し、陸田清人は踵を返して階段を下りていく。歩きながら、石塚勝矢が乙村彩羽の不在に気づいたときの顔を想像した。

想像するだけで、胸の奥がざわ...

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