第128章

木宮朱理は首を横に振って断った。

「彼の手下はみんな石塚グループの人間よ。私が使ったら、余計に居場所が割れるだけ」

犬飼亜沙美はまたしても彼女に言いくるめられ、それ以上は何も言わなかった。

ただ胸の奥では、乙村彩羽がいったいどこへ消えたのかと不安が膨らむ。

もし石塚勝矢に見つかって、昨夜のことまで知られたら――木宮家は、そう簡単には逃げ切れない。

同じ頃、山腹の別荘。

ここ最近の出来事に加え、見知らぬ環境のせいもあって、乙村彩羽はほとんど眠れないまま夜を越した。

翌朝。まだ早い時間に、彼女は階下へ降りる。

キッチンでは、すでに大村が立ち働いていた。

乙村彩羽は中へ入り、手慣...

ログインして続きを読む