第133章

ここ数日――乙村彩羽から、いっさい連絡がない。

裁判所。

石塚勝矢は会議を終え、執務室へ戻ってきた。

扉の前には、高橋遠矢が畏まって待っている。

「若様」

石塚勝矢は沈んだ目で一瞥し、「何か掴めたか?」とだけ問うた。

その視線に気圧され、高橋遠矢は後ろめたさを隠すように俯く。

「……まだ、ありません」

言い終えた瞬間、ひやりとした陰気が空気ごと彼を包み込むのがわかった。

高橋遠矢は内心で息を呑む。

乙村さんの消息が途絶えてからというもの、若様の機嫌――いや、気圧は日増しに下がる一方だ。

若様が何を考えているのか、彼には読み切れない。

乙村さんが勝手に姿を消したことに怒...

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