第23章

車は高級レストランの正面で、するりと静かに停まった。

乙村彩羽は、ようやく口を開けた。

「助けてくださって、ありがとうございます。数日後の聴取も、必ず協力します。こちらが私の番号です。石塚裁判官、いつでもご連絡ください」

そう言って自分の連絡先を高橋遠矢に渡し、反対側のドアを開けて降りようとした、その瞬間。

背後から手首をつかまれた。

「帰してやるなんて言ったか?」

胸の奥がひゅっと縮み、彩羽は反射的に座席へ戻った。

「石塚裁判官、まだ何か? 言うべきことは全部お伝えしました。小崎寧音を助け出せば、あなたが欲しい手がかりも手に入る。あなたにとって損はないはずです」

強がって、...

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