第30章

石塚勝矢と高橋遠矢が、前後して二階から下りてきた。

乙村彩羽は田村に使われ、料理を運ぶ手伝いをしていた。

二人が下りてくる気配に気づくやいなや、乙村彩羽はぱっと振り向き、高橋遠矢をじっと見つめた。

高橋遠矢が自分に敵意を持っていないことは、彼女にもわかっていた。むしろ、少し気の毒に思ってくれているようですらある。

別に、大それた願いがあるわけじゃない。ただ、小崎寧音がどうしているのか知りたかった。

せめて、ひとつ視線を返してくれるだけでもいい。

だが高橋遠矢のほうは、ついさっき石塚勝矢にきつく釘を刺されたばかりだった。乙村彩羽の視線に気づいた瞬間、冷や汗がどっと噴き出し、服までぐ...

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