第34章

夢の中で、乙村彩羽はただひたすら、自分の身体が落ちていく感覚に囚われていた。

ふわり、と臓腑が浮くような無重力。胸がざわつき、心臓が嫌な音を立てる。

勢いよく目を開けた先は、真っ暗闇。

その瞬間、喉の奥まで心臓がせり上がった。

――ここは……刑務所の懲罰房?

身じろぎしようとしたが、手足が鉛みたいに重くて持ち上がらない。身体のあちこちがずきずきと痛んだ。

まるで、ついさっきまで誰かに乱暴に殴られていたみたいに。

それに気づいた途端、彩羽は怯えた目を見開いた。

どうして……?

自分はもう、出てきたはずだ。なのに、どうして、どうしてまた――。

違う。ありえない。これは夢だ。

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