第47章

乙村彩羽の意識は小崎寧音に向いたまま――不意に、少し離れた場所から怒号が飛んだ。

「乙村彩羽! このクズ! 死ね!」

斉藤翼の声。

彩羽は反射的にそちらを振り向く。

闇を裂いて、一つの影がまっすぐ突っ込んできた。手元で、ひゅっと銀色が閃く。

――刃物。

それを認識した瞬間、息が詰まった。逃げなきゃ、と思うのに、恐怖が本能を縛りつけて脚が言うことをきかない。膝が抜け、上がるはずの足が上がらない。

「乙村の人間は全員死ね! 刑務所に入った程度じゃ、お前らの罪は償えねえんだよ!」

斉藤翼は吠え、手にした刃を彩羽へ一直線に向ける。

距離が潰れた。彩羽は恐怖に耐えきれず、ぎゅっと目を...

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