第61章

乙村彩羽は一睡もできないまま朝を迎え、意識がふわふわと宙に浮いたようだった。

石塚勝矢の言葉を耳にしても、すぐには意味を飲み込めない。

ただ、コンテストと聞いた瞬間、無駄になった自分のデザイン画が脳裏をよぎり、血の気のない頬にいっそう落胆が滲んだ。

その一瞬の揺れを石塚勝矢は見逃さない。瞳の奥に冷たい光が走る。

言葉を発しかけたところで、乙村彩羽がふっと顔を上げ、彼を見た。

そこにあるのは、光ではなく――運命への諦めだけ。

「重要かどうかは関係ありません。石塚若様のお許しがないなら、私が出場しても意味がありません」

石塚勝矢は言いかけた言葉を、その視線ひとつで喉元に押し戻された...

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