第67章

「石塚勝矢……?」

乙村彩羽はおそるおそる、彼の名を呼んだ。

目の前の石塚勝矢は、やはり反応しない。

彩羽はそっと踵を返し、忍び足で部屋を出ようとする。

二歩ほど進んだところで立ち止まり、少し考え込んでから、結局ベッドへ引き返した。

「このまま寝かせたら、明日ぜったい私に当たる……」

眠り込んだ石塚勝矢を見下ろし、彩羽は小さくぼやく。

そうして音を立てないように上着を脱がせ、寝かせ直し、布団を丁寧に掛けた。

手を離そうとした、その瞬間。

布団の中から伸びた石塚勝矢の手が、強くも弱くもない力で彼女の手首を掴んだ。

彩羽は息を呑み、顔を上げる。

ぶつかったのは、意味を測りか...

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