第68章

「石塚若様、乙村さんがいないんです。どこにいるか、ご存じありませんか?」

小崎の顔には、隠しようのない不安が張りついていた。

いつもなら乙村彩羽は早起きして、小崎と一緒に朝食の支度をする。ところが今朝は姿を見せない。まだ体調が戻っていないのだろうと思い、念のため物置部屋を覗いた。

――いない。

昨日の朝と同じ。部屋のどこにも、乙村彩羽の気配がなかった。

小崎は一気に血の気が引いた。顔見知りの使用人たちに片っ端から訊いて回ったが、誰も行き先を知らない。

昨夜の出来事が脳裏をよぎる。もしまた、あんな目に遭っていたら。見つけられないまま、ひとりで怯えていたら。

そう思うだけで、目の奥...

ログインして続きを読む