第69章

小崎の訴えを聞いた石塚勝矢は、整った顔立ちをいっそう陰らせた。

「ついて来い」

そう言い捨てると、踵を返して書斎へ向かう。

小崎は慌てて涙を拭い、早足で後を追った。

石塚勝矢が入ったのが書斎だと分かり、小崎は手にした食器の盆を見下ろして足を止める。

乙村洋がいた頃、食べ物を書斎に持ち込むのをいちばん嫌っていた。使用人の自分たちも、それが当たり前の習慣になっている。

書斎の中から石塚勝矢の声が飛んだ。

「入れ」

小崎はようやく中へ入った。

石塚勝矢は彼女の手元の皿に目を落とし、眉をひそめて室内を見回す。

「先に、机に置け」

小崎はほっと息をつき、慎重に皿を机へ置くと、彼の...

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