第71章

乙村彩羽はまぶたを伏せ気味にし、長いまつげが目の下に影を落とした。

無意識に手の中の椀をきゅっと握りしめ、思考が散っていく。

否定はできない。さっき小崎から、石塚勝矢があの使用人たちを追い出したと聞いた瞬間、胸の奥がざわりと波立った。

けれど、それも一瞬だけ。

石塚勝矢は、彼女を憎み足りないくらいのはずだ。どうして彼女のために、そこまでする。

彩羽は自嘲するように口角を引いた。

「私たち、何の関係もない。強いて言うなら……あの人は、私が一生かけて償うべきだって思ってるだけ」

「償う」という言葉が重すぎて、小崎は痛ましげに彩羽を見つめた。

彩羽は声を落とす。

「私は三年も刑務...

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