第75章

石塚家の別邸。

乙村彩羽が目を覚ますと、もう夜の9時を回っていた。

一日じゅう途切れ途切れに眠っていたせいか、眠気はすっかり消えている。顔を洗って歯を磨き、頭をしゃきっとさせてから、ベッドの端に腰掛けて設計図の続きを広げた。

――なのに、頭の中だけがぐちゃぐちゃだった。

300万さえあれば、石塚勝矢と交渉できる。そう思っていた。

けれど現実は、石塚勝矢の態度は想像以上に頑なで、話が通じる気配すらない。

木宮朱理がくれた猶予は長くない。どうにかして、石塚勝矢に自分が出ていくことを認めさせなければ。

そう考えて、彩羽はもう一度だけ話してみようと決めた。

この時間なら、まだ帰ってい...

ログインして続きを読む