第78章

村上の嘲るような視線が、乙村彩羽の顔に落ちた。

「チッ。若様が口では『執事の役目は料理女に任せる』なんて言ったからって、あんたたち、本気にしたわけ? この家で、誰があの人の言うことなんか聞くのよ」

「百歩譲って、万が一あの人が本当に執事になったとして。乙村さん、まさか自分までまた高貴なお嬢様に戻れるとか思ってないわよね?」

小崎が顔を険しくする。

「……何ですって? もう一度言ってみなさい」

乙村家で十数年も執事を務めてきた人間だ。顔を落としたときの迫力が違う。

村上は一瞬だけ気圧されたが、二人の服装が目に入ると、すぐに勢いを取り戻した。

「何よ、間違ったこと言った? あんたた...

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