第81章

乙村彩羽の顔に走った感情の揺れを、石塚勝矢は見逃さなかった。

自分が何を口にしたのか、今さらのように理解する。さっきの言い方――どこか引っかかる。石塚勝矢は不機嫌そうに眉を寄せた。

「言っただろ。俺は嘘つきがいちばん嫌いだ」

罰を与えるみたいに、彼は乙村彩羽の顎を強くつかむ。

痛みで考える余裕など消し飛び、反射的な涙が目尻ににじんだ。

「嘘なんてついてません。石塚若様、どう証明すればいいんですか?」

石塚勝矢は冷えた視線で彼女の瞳の奥を射抜く。目元も眉も、怒りで燃えていた。

目の前の乙村彩羽は、表面上は何ひとつ乱れていない。――それでも、嘘だとわかる。

何を、そこまでして隠す...

ログインして続きを読む