第88章

彼の返事を聞いた木宮朱理は、さっきの乙村彩羽の顔色まで思い出していた。

どうやら彩羽にとって、三年前の出来事は相当な影を落としているらしい。

まあ、当然だ。好きな相手に、面と向かって裁かれるなんて——誰が耐えられる?

木宮朱理が悔やむのは、あのとき自分が立ち上がれず、その瞬間をこの目で見られなかったことだけ。

我に返ると、表情を整え、石塚勝矢の皿へ箸で料理を取り分けた。

「乙村さんに、少し残酷すぎませんか」

石塚勝矢は固く閉ざされた物置部屋の扉を一瞥し、薄い唇を動かす。

「当然の報いだ」

朱理の瞳に、得意げな光がすっと走る。けれど口調だけは、あくまで思いやり深く彩羽をかばった...

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