第96章

石塚勝矢の怒気は、隠しようもないほど露骨だった。二人を見比べる平原由美の胸の中で、疑念がまたひとつ膨らんでいく。

石塚勝矢と知り合って長い。けれど、彼が何かに対してここまで分かりやすく感情を表に出すのを見たのは、これが初めてだった。

いったい彼は、目の前のこの子と……どんな関係なの。

「撮らないなら撮らないでいいけど、ほかも試す?」

深く考えるのが怖くて、由美はとりあえずそう口にした。

乙村彩羽は向かいの男を見つめる。

石塚勝矢は顔を暗く沈めたまま踵を返し、歩きながら上着を脱ぎはじめた。

「時間がない。試着はもういい」

言い終えるころには、上着はハンガーへ戻されていた。

乙...

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