第97章

石塚家へ戻る道中、車内は終始、言葉ひとつなかった。

石塚勝矢のどこかの神経に触れたのか、全身から放たれる気配が凍てつくほど冷たい。

乙村彩羽はしばらく逡巡し、ようやく意を決して口を開いた。

「石塚若様、ご安心ください。今日は木宮さんの試着をお手伝いしただけです。変に勘ぐったりもしませんし、今日のことを私の口から外に漏らすこともありません。石塚若様が望むなら、私はどうでも協力します」

石塚勝矢がバックミラー越しに彼女を一瞥した。

乙村彩羽の瞳がわずかに揺れ、急に自信を失ったように声が小さくなる。

「それで……パソコンを少しだけ、お借りできませんか。ほんの数分でいいんです。調べたいこ...

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