第382章

今の彼にとって、水原見華と二人きりで過ごすこの別荘こそが、真の意味での『家』だった。

母親も妹も健在ではある。だが父の死後、母は重い鬱に沈んで海外療養を繰り返し、妹は留学で不在がちだ。広大な堀内邸は常に閑散としており、温かな賑わいとは無縁の場所だった。

それに引き換え、水原見華と共に過ごしたこの数日間は、彼にかつてない安らぎと解放感、そして温もりを与えてくれた。

この穏やかな日々が、永遠に続いてほしい——彼はそう貪欲に願ってしまう。

「見華の様子はどうだ?」

燕乃の姿を見るなり、堀内陽介は切迫した口調で問いかけた。

燕乃は憂いを帯びた表情で眉を寄せ、小さく溜息をつく。

「水原さ...

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