第395章

「パリ・ファッションウィークのショーケースのデザイン画、至急送ってちょうだい。もし向こうがまたふざけた真似をしてくるようなら、今後一切の取引を打ち切るわ。将来S市で展示会を開きたいと思っても、私を敵に回したことを後悔させてやるってね」

ちょうどその時、信号が青に変わった。

和泉郁佳は腹の虫が治まらず、八つ当たり気味にアクセルを床まで踏み抜いた。

フェラーリは瞬く間にピンク色の稲妻と化し、夜の街へ飛び出した。

対向車線からは、控えめな外観のベンツEクラスが走ってくる。一方は左折、もう一方は右折。互いにかなりのスピードが出ていた。

「きゃっ」

電話に気を取られていた和泉郁佳が黒い車体...

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