第429章

「楓、やっと来てくれたんだね」

唐沢楓は軽やかな足取りで彼の前まで歩み寄ると、後ろで手を組み、小首をかしげて彼を見つめた。「ん? やっと? そんなに待ったんですか? 着いたばかりじゃないの?」

その立ち居振る舞いは、どこまでも明るく朗らかな少女そのもの。十五年前、暗闇の中にいた彼を救い出したあの少女と、何ひとつ変わっていなかった。

彼女を目にした瞬間、彼はその顔から灼熱の視線を剥がすことができなくなった。決して好色な男というわけではないのだが。

「ずっと待っていたよ。この前の古美さんの誕生パーティーで別れて以来、君に会えるのをずっと心待ちにしていたんだ」

七瀬烈司は苦渋を滲ませた微...

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