第478章

風野英良は細められた目を虚ろにさせ、喉仏をゴクリと鳴らした。

その場にいた全員が唖然とする。

唐沢家の令嬢は、実の兄を売るのに瞬き一つしないのだ。

——

リビングルーム。

唐沢楓は白石加尾にぴったりと抱きついていた。二人が実の兄妹でなければ、傍目には夫婦と見紛うほどの親密さだ。

「加尾兄さん、今回は本当にご苦労様」

唐沢楓は桜色の唇を尖らせた。

「大したことないさ。一人拉致してきただけだ、何が苦労なものか」

白石加尾は彼女の頭をポンポンと撫でる。その眼差しは深い慈愛と優しさに満ちていた。

「お前が喜ぶなら、あいつを殺したっていいんだぞ」

それを聞いた林田瑛太は冷や汗をか...

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