第480章

彼がかつて愛した人だ。

唐沢佑は天井まで届く書斎の本棚に向かい、二冊の本を抜き取った。

「カチャッ」と音を立てて、本棚から隠しスペースが飛び出してきた。

そこに隠されていたのは、精巧な金庫だった。

あの男の誕生日と自分の誕生日を打ち込むと、金庫の扉が開いた。

中には額縁に入った数枚の写真、厳重に封をされた資料、そして黒いベルベットのジュエリーボックスが収められていた。

唐沢佑がジュエリーボックスを取り出して開けると、ペアリングとおぼしき一対のダイヤモンドリングが並んでいた。

彼は震える指先でそのうちの一つのリングをつまみ上げ、左手の薬指にはめた。それから、先ほどの古い写真を手に...

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