第506章

あの夜、バーでの一件もあったし……

確たる証拠があって七瀬烈司だと断定できるわけではないが、それでも白石加尾は拭えない違和感を抱いていた。

「楓が事故に遭ったと聞いてね。心配でたまらないんだ。中に入って様子を見てもいいかい?」

七瀬烈司は一歩前に出て、切羽詰まった声で尋ねた。

「楓は……」

「兄さん」

白石加尾が言い終わる前に、甘く澄んだ声が響いた。

彼がさっと振り返ると、唐沢小夜が病室のドアを閉め、軽やかな足取りでこちらへ向かってくるところだった。

「楓は眠ったか?」

白石加尾は急いで問いかけた。

唐沢小夜は唇を引き結んで首を横に振り、七瀬烈司の方へ視線を向けた。

「...

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