第509章

 「さすがだな、いとこ」

 風野英良の高い鼻筋が、唐沢佑の端正な横顔にゆっくりと近づき、そのくっきりとした輪郭に温かい息を吹きかけた。

 「じゃあ、どうして結婚しないんだ? 男が好きだとしても結婚はできるだろう。アメリカの法律なら同性同士でも籍を入れられるんだから」

 唐沢佑は息を呑み、指先に信じられないほどの電流のような痺れが走った。

 グラスの赤ワインがわずかにこぼれ、まるで血のように木製のテーブルを伝い落ちる。

 「私はすでに、自分自身を神に捧げている。その中には愛情も含まれているんだ。だから私には愛する者などできないし、結婚もしない」

 「神は慈悲深い。可愛い妹のために理...

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