第51章

時計を見て、唐沢楓は胸の内で憤りを覚えた。

「しまった、油絵コンテストに遅刻してしまう!」

一方、勝利のために金田香奈は缶ビールを手に取り、狂ったように飲み干していた。

「あの唐沢楓なんて所詮何なのよ!私の前では、あの気持ち悪い取り繕った態度も捨てざるを得ないんじゃない?」

部屋で一人、金田香奈は見苦しい姿そのものだった。

髪は顔にかかり、いつ洗ったか分からない服を着て、狂気じみた表情を浮かべている。

「怖くなったんでしょ?逃げ出そうとしてるの?はははは——」

頭を後ろに反らして笑い声を上げる金田香奈の笑いには、野心と嘲りが隠しきれずに溢れていた。

「@唐沢楓、どこにいるの?...

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