第511章

そうでなければ、かつて水原見華の側仕えをしていた彼女のような使用人など、水原露美に潮見荘園から蹴り出されておしまいだろう。それではどうやって、唐沢楓から託された任務を遂行すればよいというのか。

「ワインセラーに行って、いいワインを一本持ってきなさい」

水原露美は、今や整形手術の痕跡が至る所に残る顔にフェイスマスクを載せながら、気怠げな声を引き延ばした。

「もし目利きができなくて、安物を引いてきたら――今月のお給料は全額カットだからね」

「はい、お嬢様」

葵原千弦は平身低頭して応じると、身を翻して水原露美のための赤ワインを探しに向かった。

ここ最近、水原露美は事あるごとに些細な難癖...

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