第520章

水原悟は背後から彼女をきつく抱きしめ、自分の血肉に埋め込んでしまいたいとさえ願った。

「千弦が逝った時、きっとそこまで苦しまなかったはずだ……死んだ人間は生き返らない。残された俺たちがすべきなのは、死者のために正義を貫くことだ」

葵原千弦は唐沢楓の身内ではないし、友人だとさえ呼べない関係だった。

それなのに、そんな彼女が自分のために命を投げ出したのだ。その底知れぬ後悔と自責の念がもたらす苦痛に、心優しい唐沢楓は到底耐えることができなかった。

彼女からすれば、自分で引き金を引いたのと同じことだった。

「全部私が悪いの、私のせいよ、私が彼女を死なせた……」

唐沢楓の目から溢れ出る涙が...

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