第57章

「こんな下らない絵なんて、存在する必要もないでしょう……」

どもりながら、油絵の画家は弱々しくその言葉を口にした。

「頭がおかしいんじゃないの!私たちが言っているのはこの絵のことよ!この絵に比べたら、隣の絵なんて完全にゴミ同然よ!目、ついてる?」

この言葉が出た瞬間、油絵の画家は固まってしまった。そして、この一部始終を目撃していた記者たちも皆、呆然としていた。

油絵の画家がようやく頭の停止状態から抜け出し、罵倒しようとした瞬間、一人の記者がつっかえながら言った。

「こ……これは油絵協会の会長じゃないですか!」

この肩書きを聞いた途端、油絵の画家は石のように固まった。彼女は目の前の...

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