第115章

彼はそれ以上は口にしなかった。だが、瞳の奥に宿る冷えきった殺意が、すべてを物語っていた。

林野家の三人は恩赦でも下りたかのように、転げるようにして店を飛び出した。ほとんど逃走だ。外の通行人が一斉に振り返り、失笑が漏れる。

店内は静けさを取り戻した――けれど、鈴宮京也がそこにいるだけで、空気は張り詰めたままだった。

鈴宮京也は視線を落とし、腕の中の渡部綾香を見た。声はいつもの淡々とした温度に戻っているのに、抱き寄せる腕だけは緩めない。

「服、悪くない。これにしろ」

渡部綾香は小さく「……うん」と頷いた。

鈴宮京也は固まったままの店長に言い渡す。

「さっき試したドレス数着と、このス...

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