第128章

夜は更けきり、鈴宮家の主寝室には、絡み合ったあとの熱と、ふたりだけの匂いがまだ淡く漂っていた。

渡部綾香は、これが何度目なのかもう思い出せない。

今夜の鈴宮京也は、どこか壊れているみたいだった。婚約披露の席で溜め込んだ感情――怒り、所有、支配を宣言したあとの飽き足りた満足、そして胸の底に沈めてきた不安と猜疑――それらを、全部この行為で彼女の身体に叩きつけてくる。

綾香は力の入らない指で、汗に濡れた彼の肩へ縋った。背中には柔らかなシーツ。押し寄せるたび、侵入は深くなっていく。

身体はとっくに水みたいに崩れて、意識だけが快楽の波に浮かび沈みする。はっきりする瞬間と、霞む瞬間が交互にやって...

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