第131章

鈴宮様として正面から盤面に乗るつもりなら――彼を守るのは、闇に紛れる「ノル」の役目だ。

翌朝早く。

鈴宮京也は小林と数人の腹心を連れ、鈴宮家をひそかに発った。

出発前、彼は車の前で足を止め、階段に立つ渡部綾香へ振り返る。

朝日が彼女の輪郭を淡い金で縁取り、現実味が薄れるほど美しかった。

「戻る」

「うん」

綾香は微笑んで、静かに頷いた。

車列はそのまま走り去り、屋敷の門の向こうへ消える。

見送る笑みが、ゆっくりと消えた。

代わりに浮かぶのは、刃のような決意。

綾香は寝室へ戻り、暗号化された通信端末を開いてシベットへ繋ぐ。

「準備して。公海へ出る」

声は落ち着いている...

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