第137章

一時間後、ドクターは時間ぴったりに沈村敦司のプライベートルームの前へ姿を現した。

扉が開く。沈村敦司は相変わらず、あの大ぶりのソファに深く腰を沈めていた。手には赤ワイン。旧友を待つみたいに気楽な構えだ。ドクターを見つけると、口元に満足げな弧が浮かぶ。

「ノルさん、どうぞ。座って」

ドクターは向かいに腰を下ろした。顔には、計算された従順さと、どうしようもない諦めが薄く貼りついている。沈村敦司は灰色の瞳を細め、値踏みするように眺めた。

「腹は決まったか?」

ドクターは息を吸い込み、うなずく。

「沈村さんの提示した条件……断れません」

沈村敦司は笑った。勝ちを確信した者の、余裕と得意...

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